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A.法定後見には本人の判断能力の程度に応じて、①成年後見、②補佐、③補助の3つの制度があり、各制度に応
じて段階的に後見人等の権限に差異を設けています。
①成年後見・・・本人の判断能力が全くない場合に,家庭裁判所が後見人を選びます。
成年後見人の権限は、包括的なものであり、あらゆる行為について本人を代理できます。また、
本人がなした契約等の法律行為を取消す権限も与えられます。
②保佐・・・本人の判断能力が著しく不十分な場合に,家庭裁判所が保佐人を選びます。
保佐人には、民法13条1項所定の行為(不動産の処分、訴訟、借入・保証、遺産分割、贈与、新築
・改築等)を本人がなす場合に、同意する権限、や本人がなしたこれらの行為を取消す権限が与え
られます。また、必要に応じて本人を代理する権限が与えられることもあります。
③補助・・・本人の判断能力が不十分な場合に,家庭裁判所が補助人を選びます。
補助人には、本人が選択する特定の法律行為について、代理権、同意権、取消権が与えられます。
申立をなすには本人の同意が必要です。
A.成年後見が開始されると、本人は、医師や税理士等の公的な資格を失い、会社の取締役や公務員になることも
できなくなります。また、印鑑登録はできなくなり、選挙権も失います。
保佐が開始されると、公的な資格を失ったり、会社の取締役や公務員になれないことは成年後見と同じですが
、印鑑登録や選挙権についての制限はありません。
補助が開始されたとしても、特に、資格や選挙権についての制限はありません。
A.成年後見の申立をなしうるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、検察官、成年後見人等(類型変更の場合)
、市区町村長(本人の福祉を図るために特に必要があるときに限られる)とされています。
配偶者側の3親等内の姻族も「親族」に該当するため、申立は可能です。
しかしながら、内縁の妻は、ここでの「配偶者」には該当しないため、夫についての成年後見申立をなすこと
はできないとされています(東京弁護士会LIBRA2010年12月号7頁)。
A.裁判所に納付する必要は、印紙代・郵便切手代・鑑定費用を合わせて通常12万円程度です。
ただし、医師による診断書を提出すれば、鑑定費用(約10万円)が不要になる場合もあります。
このほかに、申立時に提出する各書類(戸籍謄本等)の取寄せ・発行手数料が最低限必要になります。
なお、後見人が選任された場合には、本人の資産から後見人の報酬が支払われることになりますが、この報酬
額は通常月額2万円以上となっております(詳細は後述)。
また、弁護士に申立手続の代理を依頼する場合には、通常、20万円以上の弁護士報酬が発生します。当事務
所では、原則としてご本人の総資産評価額0.5%~1%相当額(ただし、最低10万5000円)を弁護士報
酬としてご提示させていただいております。
A.申立費用は、原則として申立人(あなた)が負担することになっていますが(家事事件手続法28条)、申立は
ご本人(お母様)の利益のためになすものですから、家庭裁判所の判断によりご本人(お母様)の資産から支
出できることもあります。
ただし、診断書取得費用や弁護士費用等、裁判所に納付する費用以外の費用については、このような制度がな
いため、原則として申立人(あなた)の負担となりますので、費用の負担については親族間でも事前に協議し
ておくことをお勧めします。
※事務管理法律の類推適用により請求できるとする考え方もあります。
A.申立に必要な書類等は、通常、以下のとおりです。なお、以下の説明は福岡家庭裁判所およびその支部の運用
に従った説明です。他の裁判所では運用が異なる場合がございますので、必ずご自身でご確認をお願いします。
□ 申立書・申立書付票…書式が福岡家庭裁判所のホームページに掲載されています。弁護士に申立を依頼する場
合には弁護士が作成します。
□ 収入印紙800円…裁判所に納付する申立手数料です。郵便局で取得します。保佐・補助開始申立の場合は金額
が異なります。
□ 収入印紙2,600円…成年後見が開始された場合には登記がなされますが、その登記手続手数料です。
同じく郵便局で取得できます。
□ 郵便切手3,380円…裁判所に納付する郵便切手です。内訳は、500円×4枚、80円×15枚、20円×4枚、10円×
10枚と指定されていますので、厳守してください。補助・保佐開始申立の場合は金額が異な
ります。
□ 鑑定費用…鑑定を実施することが決まった場合に、医師に支払う鑑定料です。鑑定を実施しない場合もありま
すので、申立時に準備する必要はありません。通常は10万円以内です。
□ 本人の戸籍謄本…本籍地の役場で取得できます。郵便による取り寄せも可能です。
□ 本人の住民票…住民登録地の市区町村役場で取得できます。※戸籍付票でも代用可能。
□(後見等が)登記されていないことの証明書…福岡法務局本庁で取得するか、東京法務局から郵送で取り寄せ
ます。福岡法務局北九州支局では取扱っていません。
□ 本人の診断書及び診断書付票…書式が福岡家庭裁判所のホームページに掲載されていますので、これを利用し
て主治医等に記入を依頼してください。
□ 本人に関する質問票…書式が福岡家庭裁判所のホームページに掲載されています。
□ 本人の財産目録および財産についての資料
□ 療育手帳、精神障碍者保健福祉手帳の写し…手帳をお持ちの場合のみ提出
□ 成年後見人候補者の住民票…住民票登録地の市町村役場で取得できます。※戸籍不要でも代用可能。
□ 候補者質問票…書式が福岡家庭裁判所のホームページに掲載されています。
□ 手続委任状…弁護士に依頼する場合にのみ必要になります。書式は当事務所にて用意いたします。
※上記のほかに、親族(推定相続人)の同意書・戸籍謄本・住民票、親族関係図の提出を求められることもあり
ます。
A.医師による鑑定を実施する場合には、通常、申立から終局審判まで概ね3か月程度かかります。鑑定を実施し
ない場合には、1か月程度短縮されます。
A.原則として申立日に、調査官・参与員と申立人・後見人候補者・本人の面接が実施され、申立書類の確認、鑑
定の要否、親族の意向調査の範囲、後見人候補者の適格性等を確認します。
また、その後、裁判所から推定相続人、本人と同居している者、事実上本人の財産を管理している者等に対し
て意向照会がなされます。さらに、必要に応じて本人の鑑定を実施し、これらの内容を踏まえて裁判所が後見
開始の審判をします。
A.成年後見の申立をする際に、成年後見人の候補者を推薦することは可能です。候補者は、親族か弁護士を
推薦することが通常です。しかしながら、裁判所がこの推薦に拘束されるものではなく、裁判所独自の判断に
より第三者が成年後見人に就任することもありえます。また、この裁判所の決定に異議を申し立てることはで
きません。
A.①親族間に意見の対立がある場合、②本人に賃料収入等の事業収入がある場合、③本人の資産が大きい場合、
④後見人候補者ないしその親族と事件本人との利害対立がある場合、⑤後見人候補者が高齢である場合、など
には第三者を選任される場合があります。
A.成年後見開始申立を取り下げる場合には、たとえ審判の前であっても家庭裁判所の許可が必要となります(家
事事件手続法121条)。従いまして、申立人による取下げが自由に認められるわけではありません。
A.第三者が成年後見人に就任した場合、成年後見人は本人の資産から報酬を受け取ることができますが、この報
酬額は、成年後見人の申立により、成年後見人の職務内容、本人の財産の内容等を考慮して家庭裁判所が決定
します。本人の財産が減少することになるので、この点も十分に考慮して申立ての是非を判断する必要があり
ます。
なお、実務上、成年後見人の報酬額は原則月額2万円とされており、管理財産額が1000万円を超え5000万円
以下の場合には月額3万円から4万円、管理財産額が5000万円を超える場合には月額5万円から6万円とされて
います。
※保佐人・補助人も同様です。
※成年後見人が、訴訟、遺産分割調停、居住用不動産の任意売却等の特別な行為をした場合には、その内容に
応じて付加報酬を受け取ることができます。
A.成年後見監督人が本人の資産から報酬を受け取ることができるのは、成年後見人の場合と同様です。
実務上、成年後見監督人の報酬額は月額1万円から2万円、管理財産額が5000万円を超える場合には、月額2万
5000円から3万円とされています。
※保佐監督人・補助監督人も同様です。
A.病気の回復等により本人の判断能力が正常に回復するか本人が死亡しない限り、後見を終了させることはでき
ません。一度、後見開始決定が出れば親族の都合により終了することはできないということになります。
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