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Kokura Law Office 福岡県弁護士会 北九州部会 西小倉駅徒歩2分

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法定成年後見制度HEADLINE

概要


認知症・知的障害等の病気や事故などにより正常な判断能力が低下した方は、自ら契約行為や訴訟行為をすることが困難な
ことがあります。また、意思能力を喪失した状態での契約行為は無効となります。しかしながら、このような方であっても、
この社会の一員として生活を営んでいる以上、様々な法律問題に直面することがあります。

このような場合に、正常な判断能力が低下した方が自ら単独で契約や訴訟行為をするこは適切ではないため、このような方を
保護し、支援するために、本人以外の親族や専門家が、裁判所の選任により成年後見人等に就任することによって、本人を代
理したり、本人のなす行為に同意したりする制度が成年後見制度です。

成年後見制度には、任意後見契約(ご本人が正常な判断能力を有している間に、将来に備えて、特定の任意後見候補者との間
で任意後見契約を締結しておく制度)と法定後見(ご本人の判断能力が低下した際に、家庭裁判所への申立により成年後見人
(または保佐人・補助人)を選任する制度)がありますが、ここでは法定後見についてご説明していくことにします。

法定成年後見制度を利用するための手続の流れは概ね以下のとおりです。

 ① 親族等が家庭裁判所に成年後見人(または保佐人・補助人)の選任申立をする。
   ・申立の際には、あらかじめ成年後見人の候補者を推薦することができます。

 ② 家庭裁判所において成年後見人(または保佐人・補助人)選任の必要性を判断する。
   ・申立人や本人との面接が実施されます。
   ・必要に応じて医師による鑑定が実施されます。
   ・推定相続人等に対して意向照会が行われます。

 ③ 家庭裁判所が選任の必要性ありと判断した場合には、親族または弁護士等の専門家が成年後見人(または保佐人・補助
   人)に就任する。必要に応じて後見監督人が選任されることもある。
   ・申立時に推薦した候補者が選任されるとは限りません。
   ・成年後見人や後見監督人は、本人の資産の中から報酬を受け取ることができます。

 ④ 選任された成年後見人は本人のために、種々の法律行為等を行います。
   ・成年後見人はあくまで本人の利益のために職務を遂行するため、その活動内容がご親族等の申立人の意向に沿わない
    こともありえます。

超高齢化社会となった日本では、成年後見制度の役割が益々重要になっており、実際に、成年後見の申立件数も増加傾向に
あります。

以下のケースは、成年後見制度の利用がお客様のお役に立つかもしれない具体例です。もちろん、制度の利用には費用も発生
するため、常に制度の利用がお客様のニーズに合致するとは限りません。当事務所では、お客様の個別のご事情・ご要望に合
わせて最適な解決方法をアドバイスさせていただきます。

 □ 母親が認知症になったため、母名義の預金を医療費や介護費に充てたい。

 □ 一人暮らしの高齢の母に、あやしい業者が出入りしてリフォームを進めているので、被害を防止したい。

 □ 認知症の母が、悪徳業者に騙されたので、代金を取り戻したい。

 □ 事故により夫が意識が回復しない状態になってしまったが、損害の賠償を求めて訴訟提起をしたい。

 □ 父が多額の債務を残して死亡したので配偶者である母と子供が相続放棄をする必要があるが、母は認知症のため自ら
   相続放棄をすることができない。

 □ 父が多額の財産を残して死亡したので、母と子供で遺産分割協議をする必要があるが、母が認知症であるため協議を
   進めることができない。


法定後見Q&A


Q.成年後見、保佐、補助の違いなんですか?

A.法定後見には本人の判断能力の程度に応じて、①成年後見、②補佐、③補助の3つの制度があり、各制度に応
  じて段階的に後見人等の権限に差異を設けています。
  ①成年後見・・・本人の判断能力が全くない場合に,家庭裁判所が後見人を選びます。
        成年後見人の権限は、包括的なものであり、あらゆる行為について本人を代理できます。また、
        本人がなした契約等の法律行為を取消す権限も与えられます。
  ②保佐・・・本人の判断能力が著しく不十分な場合に,家庭裁判所が保佐人を選びます。
       保佐人には、民法13条1項所定の行為(不動産の処分、訴訟、借入・保証、遺産分割、贈与、新築
       ・改築等)を本人がなす場合に、同意する権限、や本人がなしたこれらの行為を取消す権限が与え
       られます。また、必要に応じて本人を代理する権限が与えられることもあります。
  ③補助・・・本人の判断能力が不十分な場合に,家庭裁判所が補助人を選びます。
       補助人には、本人が選択する特定の法律行為について、代理権、同意権、取消権が与えられます。
       申立をなすには本人の同意が必要です。
       

Q.法定後見が開始されると本人に資格制限等がなされますか?

A.成年後見が開始されると、本人は、医師や税理士等の公的な資格を失い、会社の取締役や公務員になることも
  できなくなります。また、印鑑登録はできなくなり、選挙権も失います。
  保佐が開始されると、公的な資格を失ったり、会社の取締役や公務員になれないことは成年後見と同じですが
  、印鑑登録や選挙権についての制限はありません。
  補助が開始されたとしても、特に、資格や選挙権についての制限はありません。

Q.内縁の妻が夫の後見開始申立をなすことはできますか?申立権者の範囲を教えてください。

A.成年後見の申立をなしうるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、検察官、成年後見人等(類型変更の場合)
  、市区町村長(本人の福祉を図るために特に必要があるときに限られる)とされています。
  配偶者側の3親等内の姻族も「親族」に該当するため、申立は可能です。
  しかしながら、内縁の妻は、ここでの「配偶者」には該当しないため、夫についての成年後見申立をなすこと
  はできないとされています(東京弁護士会LIBRA2010年12月号7頁)。

Q.申立にはどれくらいの費用が必要ですか?

A.裁判所に納付する必要は、印紙代・郵便切手代・鑑定費用を合わせて通常12万円程度です。
  ただし、医師による診断書を提出すれば、鑑定費用(約10万円)が不要になる場合もあります。
  このほかに、申立時に提出する各書類(戸籍謄本等)の取寄せ・発行手数料が最低限必要になります。
  なお、後見人が選任された場合には、本人の資産から後見人の報酬が支払われることになりますが、この報酬
  額は通常月額2万円以上となっております(詳細は後述)。
  また、弁護士に申立手続の代理を依頼する場合には、通常、20万円以上の弁護士報酬が発生します。当事務
  所では、原則としてご本人の総資産評価額0.5%~1%相当額(ただし、最低10万5000円)を弁護士報
  酬としてご提示させていただいております。

Q.認知症の母のために申立をしたのですが、費用はすべて私が負担しなければならないのですか?

A.申立費用は、原則として申立人(あなた)が負担することになっていますが(家事事件手続法28条)、申立は
  ご本人(お母様)の利益のためになすものですから、家庭裁判所の判断によりご本人(お母様)の資産から支
  出できることもあります。
  ただし、診断書取得費用や弁護士費用等、裁判所に納付する費用以外の費用については、このような制度がな
  いため、原則として申立人(あなた)の負担となりますので、費用の負担については親族間でも事前に協議し
  ておくことをお勧めします。
  ※事務管理法律の類推適用により請求できるとする考え方もあります。

Q.成年後見開始申立に必要な書類等にはどのようなものがありますか?

A.申立に必要な書類等は、通常、以下のとおりです。なお、以下の説明は福岡家庭裁判所およびその支部の運用
 に従った説明です。他の裁判所では運用が異なる場合がございますので、必ずご自身でご確認をお願いします。

 □ 申立書・申立書付票…書式が福岡家庭裁判所のホームページに掲載されています。弁護士に申立を依頼する場
            合には弁護士が作成します。
 □ 収入印紙800円…裁判所に納付する申立手数料です。郵便局で取得します。保佐・補助開始申立の場合は金額
          が異なります。
 □ 収入印紙2,600円…成年後見が開始された場合には登記がなされますが、その登記手続手数料です。
          同じく郵便局で取得できます。
 □ 郵便切手3,380円…裁判所に納付する郵便切手です。内訳は、500円×4枚、80円×15枚、20円×4枚、10円×
          10枚と指定されていますので、厳守してください。補助・保佐開始申立の場合は金額が異な
          ります。
 □ 鑑定費用…鑑定を実施することが決まった場合に、医師に支払う鑑定料です。鑑定を実施しない場合もありま
       すので、申立時に準備する必要はありません。通常は10万円以内です。
 □ 本人の戸籍謄本…本籍地の役場で取得できます。郵便による取り寄せも可能です。
 □ 本人の住民票…住民登録地の市区町村役場で取得できます。※戸籍付票でも代用可能。
 □(後見等が)登記されていないことの証明書…福岡法務局本庁で取得するか、東京法務局から郵送で取り寄せ
                       ます。福岡法務局北九州支局では取扱っていません。
 □ 本人の診断書及び診断書付票…書式が福岡家庭裁判所のホームページに掲載されていますので、これを利用し
                て主治医等に記入を依頼してください。
 □ 本人に関する質問票…書式が福岡家庭裁判所のホームページに掲載されています。
 □ 本人の財産目録および財産についての資料
 □ 療育手帳、精神障碍者保健福祉手帳の写し…手帳をお持ちの場合のみ提出
 □ 成年後見人候補者の住民票…住民票登録地の市町村役場で取得できます。※戸籍不要でも代用可能。
 □ 候補者質問票…書式が福岡家庭裁判所のホームページに掲載されています。
 □ 手続委任状…弁護士に依頼する場合にのみ必要になります。書式は当事務所にて用意いたします。

 ※上記のほかに、親族(推定相続人)の同意書・戸籍謄本・住民票、親族関係図の提出を求められることもあり
  ます。

Q.申立から後見開始決定までどれくらいの時間がかかりますか?

A.医師による鑑定を実施する場合には、通常、申立から終局審判まで概ね3か月程度かかります。鑑定を実施し
  ない場合には、1か月程度短縮されます。

Q.申立後にはどのような審理が行われますか?

A.原則として申立日に、調査官・参与員と申立人・後見人候補者・本人の面接が実施され、申立書類の確認、鑑
  定の要否、親族の意向調査の範囲、後見人候補者の適格性等を確認します。
  また、その後、裁判所から推定相続人、本人と同居している者、事実上本人の財産を管理している者等に対し
  て意向照会がなされます。さらに、必要に応じて本人の鑑定を実施し、これらの内容を踏まえて裁判所が後見
  開始の審判をします。

Q.親族のうち一人を後見人にしてもらいたいのですが、後見人の指定は可能ですか?

A.成年後見の申立をする際に、成年後見人の候補者を推薦することは可能です。候補者は、親族か弁護士を
  推薦することが通常です。しかしながら、裁判所がこの推薦に拘束されるものではなく、裁判所独自の判断に
  より第三者が成年後見人に就任することもありえます。また、この裁判所の決定に異議を申し立てることはで
  きません。

Q.候補者以外の第三者が成年後見人に選任されるのは、どのような場合ですか?

A.①親族間に意見の対立がある場合、②本人に賃料収入等の事業収入がある場合、③本人の資産が大きい場合、
  ④後見人候補者ないしその親族と事件本人との利害対立がある場合、⑤後見人候補者が高齢である場合、など
  には第三者を選任される場合があります。

Q.候補者以外の第三者が成年後見人に選任されそうな場合、申立てを取下げることはできますか?

A.成年後見開始申立を取り下げる場合には、たとえ審判の前であっても家庭裁判所の許可が必要となります(家
  事事件手続法121条)。従いまして、申立人による取下げが自由に認められるわけではありません。

Q.成年後見人の報酬はどれくらいの額になりますか?

A.第三者が成年後見人に就任した場合、成年後見人は本人の資産から報酬を受け取ることができますが、この報
  酬額は、成年後見人の申立により、成年後見人の職務内容、本人の財産の内容等を考慮して家庭裁判所が決定
  します。本人の財産が減少することになるので、この点も十分に考慮して申立ての是非を判断する必要があり
  ます。
  なお、実務上、成年後見人の報酬額は原則月額2万円とされており、管理財産額が1000万円を超え5000万円
  以下の場合には月額3万円から4万円、管理財産額が5000万円を超える場合には月額5万円から6万円とされて
  います。
  ※保佐人・補助人も同様です。
  ※成年後見人が、訴訟、遺産分割調停、居住用不動産の任意売却等の特別な行為をした場合には、その内容に
   応じて付加報酬を受け取ることができます。

Q.成年後見監督人が選任された場合の報酬はどれくらいの額になりますか?

A.成年後見監督人が本人の資産から報酬を受け取ることができるのは、成年後見人の場合と同様です。
  実務上、成年後見監督人の報酬額は月額1万円から2万円、管理財産額が5000万円を超える場合には、月額2万
  5000円から3万円とされています。
  ※保佐監督人・補助監督人も同様です。

Q.後見開始決定後に後見を終了させることはできますか?

A.病気の回復等により本人の判断能力が正常に回復するか本人が死亡しない限り、後見を終了させることはでき
  ません。一度、後見開始決定が出れば親族の都合により終了することはできないということになります。

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