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交通事故と税務

交通事故で被害に遭った場合、損害賠償請求をすることにより多額のお金が動くことがあります。多くの方は、この場合でも税金の問題があることなど考えもしないでしょうが、弁護士や税理士であれば、お金が動く以上、税務についても確認しておく必要があります。

結論的には、多くのケースでは税金の問題が生じませんが、納税義務が生じるケースもありますので、一読しておくことをお勧めします。

なお、この議論は、交通事故以外の損害賠償請求においても原則として妥当するため、医療過誤訴訟、学校事故等においても参考になるものと考えられます。

※以下の説明は、一般的なケースにおける原則的な考え方を簡潔に解説しているものであり、一部には例外もあります。個別の事例における納税義務の有無については必ず弁護士にご相談するなどして確認をしてください。

□ 交通事故で被害に遭い、加害者(保険会社)から損害賠償金を受領した場合、所得税はかかるのか?
  一般的に、何らかの理由で金員を受け取った場合、所得税の問題が生じることが多く、交通事故の場合も被害者が賠償金を受け取れば所得税が課せられるのではないかという点を確認しておく必要があります。
  もし、受領した損賠賠償金に所得税がかかるのであれば、多額の所得税納付義務を負うこともありえるため被害者にとっては大きな問題となります。
  しかしながら、交通事故等の不法行為に基づく損害賠償金にには原則として所得税はかかならいとされています(所得税基本通達9‐19、9‐23参照)。
  ですから、多くの交通事故では、被害者が納税義務を意識することなくても特段問題が生じないことになります。

□ 死亡交通事故で被害者本人の損害賠償請求権を相続した場合、相続税はかかるのか?
  死亡交通事故の場合、被害者のご遺族は、被害者本人が亡くなるまでの間に被害者本人が取得する損害賠償請求権(本人自身の死亡慰謝料等)を相続することにより、相続人が加害者(保険会社)から死亡慰謝料を受け取ることになります。
  死亡交通事故の慰謝料は高額になりますので、これが相続税の対象となるかどうかは相続人にとっても大きな問題となります。
  しかしながら、このようなケースにおいて、遺族が相続により取得する損害賠償請求権には、原則として相続税はかからないとされています。もちろん、この場合も、遺族が受け取った賠償金に所得税がかかることも原則としてありません。

□ 傷害交通事故の後、被害者が損害賠償金を受領する前に別の原因で亡くなった場合、相続税はかかるのか?
  
死亡事故のケースとは異なり、傷害にとどまる事故の場合の相続税については、別の問題となります。
  交通事故の後、被害者本人が別の原因で(交通事故とは因果関係なく)死亡したとします。
  この場合に、被害者本人が損害賠償金を受領する前に死亡したとしても、遺族には相続により取得する損害賠償金の請求権について相続税を納付する義務が発生します(もちろん、相続税には基礎控除等がありますから必ず納税義務が発生するわけではないです)。
  死亡事故の場合と比べて、不均衡な印象を持たれる方もいるかもしれませんが、仮に、被害者本人が賠償金を受領した後に死亡した場合には、当該受領金には、他の資産と同様に相続税が当然かかりますから、むしろ、あたりまえとも言えます。
  損害賠償請求権も含めて遺族が相続する遺産には原則的に相続税がかかるが、死亡事故の場合には例外的に相続税の対象とならない、と考えるとわかりやすいかもしれません。

□ 事業主が損害賠償をした場合の必要経費算入について
  上記は、全て被害者側の納税義務について解説しましたが、最後に加害者側の税務問題についても触れておきます。
  会社の従業員が業務中に交通事故をおこし、事業主が被害者に損害賠償金を支払った場合、この損害賠償金(慰謝料、示談金、見舞金等)が事業所得の必要経費となるかどうかは、①事故の業務関連性の有無と②事故原因に故意又は重過失があったかどうかにより判定します。
  ① まず、事故が業務に関連のない場合は必要経費になりません。
  ② また、事故が業務に関連している場合でも、事故原因に故意又は重過失があった場合には必要経費にはなりません。
  例えば、無免許運転、高速度運転、酔払運転、信号無視などによる事故は、原則として重過失ありと認定されます。
  このように、事業主が加害者として支払った損害賠償金が事業所得の必要経費となるためには、業務に関連した事故で、しかも故意又は重過失がないことが必要になります。

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