本文へスキップ

Kokura Law Office 福岡県弁護士会 北九州部会 西小倉駅徒歩2分

TEL 093-571-8723

803-0811 北九州市小倉北区大門2丁目1-8コンプレート西小倉7F

不動産の法律相談HEADLINE

マンション・アパートの賃貸借契約解除・建物明渡訴訟

借主による家賃滞納が発生した場合、契約締結時に十分な対策を講じておかなければ、滞納家賃の回収を図ろうとしてもうまくいかないこともあります。この場合、家主・オーナーが採りうる次善の策は、一刻も早く賃貸借契約を解除し退去してもらうことです。退去が1日遅くなれば1日分の損失が発生します。少しでも損失の発生を抑えたいのであれば、とにかく迅速な対応をすることが必要となります。

ここでは借主による家賃滞納のケースにおける退去請求の流れ、注意点を解説します。

1 滞納賃料催告・契約解除
借主による家賃滞納が発生した場合には、滞納賃料の催告と賃貸借契約の解除を通知することからはじめるのが一般的です。
この通知文は、後述3の訴訟遂行の際の証拠として提出することになりますので、内容証明郵便により通知することが必要です。

裁判実務上、土地や建物賃貸借契約は、賃料滞納が1回あっただけで即時に解除することは許されず、3か月分程度の賃料滞納がない限り契約解除はできないとされています(注)。たとえ、契約において「1回でも滞納があったら即時解除ができる」という定めがあったとしても同じです。

しかしながら、契約解除ができないとしても滞納賃料の請求は当然に許されるのですから、1回でも家賃滞納が発生しているのであれば通知文を発送することをためらう理由はありません。早い段階で何も対応しなければ、借主も罪悪感が薄くなり、3か月程度はすぐに経過してしまうものですし、仮に、この時点において法的には契約解除の効力が発生しないとしても、3か月経過後に改めて契約解除通知をなせばいいだけです。損失拡大を抑えたいなら、即時に通知文は発送すべきです。

不動産オーナーの中には、この段階で弁護士に依頼するか悩まれる方も多いようですが、通知文を適切に作成するためには法的知識が不可欠ですし、弁護士の名義により通知をなせば、自主的に滞納賃料を払い退去する賃借人も多いため、この段階で弁護士に依頼をしておく方が円滑な退去の確率が上がることは間違いありません。

なお、再三の催告にもかかわらず賃料滞納期間が長期化している場合等、改めて催告をしても無駄と思われるケースもあります。この場合は、いずれにしても訴訟提起をせざるを得ないので、わざわざ通知をするのは時間と費用の無駄になります。このようなケースでは、いきなり訴訟提起をして、訴状により契約解除の通知をなすことも可能です(訴状の記載事項等に専門技術を要しますので、必ず弁護士に相談してください)。

2 占有移転禁止の仮処分
借主が1の催告に応じない場合には、そのまま訴訟提起をする場合がほとんどです。

しかしながら、仮に、裁判で勝っても借主が判決前に第三者に部屋を転貸し、その第三者が部屋に居座っている場合には、判決に基づき強制執行申立をしても、その第三者を追い出すことができない場合があります。悪質な借主の中には嫌がらせとして、このような転貸をする場合もあります。

このようなおそれがある場合に有効となるのが占有移転禁止の仮処分です。占有移転禁止の仮処分申立をしておけば、借主に対する勝訴判決に基づき第三者を追い出すことができます。確実に手続を進めたいのであれば、申立をしておく必要があります。

もっとも、占有移転禁止の仮処分申立をなすためには家賃の1~3か月程度の担保金を供託する必要があり(ただし、裁判で勝訴すれば戻ってきます)、訴訟とは別に弁護士報酬も発生しますので、実際に申立をするかは個別の事情に応じてお客様と相談しながら決めております。

当事務所の弁護士は、占有移転禁止の仮処分についても多数の業務経験を有しておりますので、遠慮なくご相談ください。

3 訴訟提起

上記1の催告にも関わらず、賃借人が滞納家賃を支払わない場合には退去を求めて訴訟提起するしかありません。

訴訟提起には時間もかかりますし、ほとんどの場合には弁護士に依頼する必要がありますから費用もかかります。

しかしながら、費用を出し渋って訴訟提起を躊躇しても、借主が自主的に退去する可能性は低いことは明らかですから、その期間の分だけ滞納家賃が増大し、結果的に損失が大きくなります。

賃料滞納は一定の確率で必ず発生するものであり、全ての借主が賃料全額を払ってくれることなどありえないのですから、このような訴訟維持コストは不動産オーナーであればあらかじめ計算に入れておくべきコストといえます。

また、上記1の通知文だけでは誠実な対応をしない借主であっても、訴訟提起をすれば自主的に退去する者も多いため、少しでも早く問題を解決したいのであれば、早期に訴訟提起をすべきです。

4 明渡しの強制執行申立
訴訟提起をし勝訴判決を得ても、それに従わず立ち退かない借主も稀います。この場合には、判決に基づき強制執行申立をなすしかありません。

この強制執行申立にも多額の費用が必要となるため、申立を渋る不動産オーナーも多くいらっしゃいます。しかしながら、このような対応は結局は問題の先送りでしかなく、損失が拡大する場合がほとんどです。賃借人側の事情も様々であり同情に値するケースもありますが、いずれにしても裁判の結果に自主的に従わないこと自体、極めて異常なことであり、紛争の終局的な解決のためには毅然とした対応を迅速になすことが必要不可欠です。

5 相談や事件処理の依頼は必ず弁護士すること
不動産オーナーの中には、費用を抑えるために、無断で部屋の鍵を交換して借主を追い出したりする方もいますし、弁護士以外の者(例:不動産仲介業者や不動産コンサルタント)に立退交渉や滞納家賃回収交渉を依頼される方もいます。

しかしながら、これらの行為は違法な行為であり、安易にこのような行為をした場合には、①賃借人から損害賠償請求を受ける、②本来有効な契約解除が無効とされる、②刑事罰が課される等のリスクもあります。

また、弁護士以外の者に交渉を依頼しても、訴訟手続において代理人になれるわけではありませんし、相手方が弁護士に対応を依頼すれば、無資格者が交渉をすることは違法行為であるとの警告を受けることになり、交渉から降りざるをえないことになります。この場合には、結局、再度、弁護士に依頼をすることになり、依頼費用も二重に発生することがほとんどです。

このようなリスクを回避するために、不動産オーナーであれば、賃料回収や立退交渉は弁護士に依頼するしかないということを当然に知っておくべきです。

賃料滞納が発生した場合には、とにかく迅速な対応をすることが損失を最小限に抑える最大コツです。少しでも躊躇をすれば、その分滞納期間が長期化し損失が増大します。この迅速な対応を可能にするためにも、気軽に相談・依頼できる弁護士を見つけておくことが重要です。

当事務所の弁護士は、不動産管理会社・不動産オーナーに対し継続的に法的アドバイスをしてきた業務経験を有しており、建物明渡請求案件についても多数の業務経験を有しております。賃料滞納や退去についてお困りの方は、是非、当事務所にご相談ください。

注:東京弁護士会不動産法部編「マンション・オフィスビルの賃貸借の法律相談」325頁

バナースペース

小倉総合法律事務所

〒803-0811
北九州市小倉北区大門2-1-8
コンプレート西小倉7階

代表弁護士 川上 武志
(福岡県弁護士会北九州部会)


TEL 093-571-8723
FAX 093-571-8724
info@kokura-lawoffice.com

受付時間
平日  9:30~17:30
土日祝 不定期に営業

※受付時間内でも弁護士が不在にしている場合がございますので、ご了解ください。