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ここではこの年金逸失利益の問題について解説します。
□ 逸失利益性が肯定される年金・否定される年金
判例実務上、すべての年金に逸失利益性が肯定されているわけではありません。
普通恩給・地方公務員の退職年金・国民年金については最高裁判決により逸失利益性が肯定されていますが、障害年金・遺族年金については最高裁判決により逸失利益性が否定されています。
なぜこのような差異があるかという点については深く考える必要はないと思いますが、ご興味のある方は弁護士に相談される際に質問してみるのも良いでしょう。
□ 受給開始前の年金逸失利益
死亡時に年金を受給してた人とは異なり、年金受給前に死亡した人についての年金逸失利益が請求できるかという点は難しい問題です。一般的に、受給開始年齢に近い人については年金逸失利益の請求が認められることが多いですが、若年者の場合には、保険料を納め続けて受給資格を得られたかどうかはわからないので、逸失利益性が否定されることが多いと言えます。
□ 生活費の控除
働いている人が交通事故により死亡した場合、逸失利益(就労可能期間内に得られたであろう収入)から生活費を控除することになります。同様に年金逸失利益についても、生活費が控除されることになります。生活費控除率は、稼働利益の場合には30%~50%程度のケースが多いですが、年金収入の場合には、50%~80%程度と比較的高い割合で控除されることが多いです。ただし、実際の控除率は個別の事情により大きく変動しますので、弁護士にご相談されることをお勧めします。
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