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専門用語を用いるのは避けるべきである

ソフトウェア関係の契約書等、独自の専門性・技術性が高い業界の契約書チェックのご依頼をいただくと、とにかく専門用語を多用したがるケースがあります。中には、専門用語を多用した方がレベルの高い契約書であると考えている企業もあるようです。

しかしながら、これは明らかに誤りです。

そもそも、契約書は何のために作成するかという点について考えると、紛争の予防だとか第三者への説明用だとかいろいろな理由がありえますが、最終的には契約内容に基づき法的な責任をとってもらうために作成するものです。

この法的な責任をとってもらうためには、その前提として裁判所にこちらの主張を認めてもらう必要があるため、契約書は裁判官に正しく理解できる内容でなければ意味がありません(裁判規範として機能しません)。

しかしながら、いうまでもなく裁判官はあらゆる業界の専門家ではないので、ほとんどの場合、業界独自の用語の正しい意味を理解するだけの知識や経験はありません。
専門的な表現や技術的な表現は、裁判所からみれば単なる「方言」に過ぎず、裁判官に誤解を生じさせるリスク要因になるものです。

あえて専門用語の多用が許される場合があるとすれば、全ての裁判官が当然に知っている法律用語だけでしょう。

契約当事者の双方が同じ業種の会社で、言葉の意味についてもお互いの認識に齟齬がないケースであれば、お互いの共通認識を裁判所に噛み砕いて伝えていくことができるのでまだ良いのですが、異なる業種間の契約の場合(小売店とソフトウェアベンダ間のソフトウェア開発委託契約等)、専門用語の意義について双方の認識が全く異なっていることがあります。

この場合、どちらの認識が正しいのか(契約上合意された内容はどちらの認識なのか)を裁判上争っていくことになり、不毛な労力・時間を費やしていくことになります。

特定の業界で仕事をしている方は、その業界独自の言葉をあまりに日常的に使っているため、業界外の人間にも、当然、その言葉の意味が理解できるだろうと無意識のうちに誤信していることもあります(この点については弁護士も同じです)。また、契約書に関わらず文書を作成する場合には専門用語で表現する方が楽です。そのため、契約書をドラフトすると自然に専門用語を多用してしまいがちです。

しかしながら、契約法務の担当者であれば、あえて素人でもわかるくらい噛み砕いた表現を用いることが将来の紛争予防、紛争の長期化回避へつながるということは十分に認識しておくべきです。

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