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民事訴訟の法律相談HEADLINE

訴状が届いたら

ある日、突然、裁判所から特別送達が届いた。
中をあけると「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」という書面とともに訴状が同封されていた。

今、このページにたどりついた方は、まさにこういう状況なのかもしれません。
訴状に書いてあることに思い当たる節が全くない。思い当たる節はあるが、とにかくどうすればいいのかわからない、という方は、このページがヒントになるかもしれません。

訴状があなたのもとに届くまで

そもそも、訴状はどういう経緯であなたのもとまで届いたのかを考えてみましょう。

何らかの理由で原告があなたを訴えたいと考えた場合、まずは証拠を集めて訴状を作成します。もちろん、この作業自体、簡単な作業ではないですから弁護士に依頼する原告も多いでしょう。

訴状・証拠・添付資料が全て揃うと、原告はこれら一式を裁判所に提出します。
原告から訴状を受理した裁判所は、訴状の記載事項や提出書類に不備がないかを確認した上で、問題があれば原告に修正を命じ、問題がなければ、あなたへ訴状の副本を特別送達により郵送します。

こうしてあなたのもとに訴状が届くことになります。

多くの事件では、原告と被告との間で、督促行為や和解交渉等の何らかの接触があるので、訴状の内容をみて全くの初耳であるというケースは少ないはずです。しかしながら、何ら事前の交渉や調停等をせずにいきなり訴えを提起すること自体は何ら違法ではないので(離婚請求等一部の例外はあります)、いきなり訴状が届くというケースもないわけではありません。

訴状が届いたら、まずはどうすればいいか。

裁判所から訴状が届いたら、まずは「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」の内容をよく確認しましょう。

裁判所からは、指定の期日に出頭すること、答弁書を1週間前までに出すこと、証拠などを準備して持参すること等の宿題が記載されているはずです。しかしながら、全ての宿題に対応できない方も多いはずです。

この場合には、以下の説明をよく読んで対応を決めてください。

 □ 期日までに必要な証拠を揃えられない
  裁判実務上、第1回期日までには争う意思を明確にするだけの簡単な答弁書(形式答弁といいます)を提出しておけば、
  詳細な主張や証拠は第2回期日以降に提出すればよいという取扱いになっています。
  詳細な主張や証拠の提出が間に合うのであれば提出しておくべきですが、仮に、間に合わない場合でも最低限形式答弁書
  (小倉支部・本人訴訟用)を提出しておきましょう。提出方法は郵便でもファックスでも構いません。

 □ 「期日の1週間前までに」答弁書を提出するよう指示されているが、間に合わない
  提出期限が指定されている以上、できる限り期限を守ることが望ましいのはいうまでもありません。
  しかしながら、裁判所の期限は一方的に指定されるものであるため、常に期限を守れるとは限りません。特に、形式答弁
  とはせずに、詳細な主張・証拠を提出する予定であれば、時間的な余裕は全くないはずです。
  このような観点から、裁判実務上、指定された期日の前日までに答弁書を提出しておけば、実際には不利益に扱われるこ
  とはありません。

 □ 期日に出頭することができない
  裁判所の書面には、指定した期日に出頭するよう記載があります。しかしながら、裁判所が指定する期日は必ず平日の日
  中ですから、働いている人であれば簡単に調整できる日程ではありません。働いていない人であっても、外せない用事が
  あるかもしれません。
  このような場合、答弁書さえ出しておけば、第1回目の期日に限っては欠席することが認められています(簡易裁判所で
  は、第2回目以降の期日も欠席可能です)。また、答弁書に第1回目の期日には出席できないと記載しておけば(または
  裁判所の書記官に電話を入れておけば)、ほとんどのケースでは事前に第2回期日を調整してくれます。
  ただし、第2回目以降も土日や夜間に期日指定されることはないため、平日日中に出頭が一切できない方は、弁護士に依
  頼されることをお勧めします。
  
 □ 遠方なので第2回期日以降も出頭できない
  事件によっては遠方の裁判所に訴えが提起されることもあります。この場合には、第1回期日だけでなく第2回期日以降
  も出頭が難しい場合もあるはずです。このような場合には、事前に裁判所書記官に相談すれば、電話会議(期日当日にあ
  なたの電話に裁判所から電話をかけて審理を進行する方式)による審理を認めてもらえることもありますので、まずは、
  裁判所書記官にご相談してください。

 □ 原告の主張が正しく、反論することは一切ない
  訴状の内容によっては、原告の主張が完全に正しく、一切争いようがない場合もあるかもしれません。しかしながら、こ
  のような場合でも、あなた自身に希望(和解をしたい、分割払いを認めてほしい、少しでも減額してほしい等)があれば
  、それを答弁書に記載して提出してみるべきです。
  原告が、あたなの希望に応じるかはわかりませんが、少なくとも裁判所はあなたが誠実な対応をする限り、話し合いによ
  る解決を図ってくれることが多いです。


「被告」となっているが、どういう意味か

訴状や裁判所の文書では、あなたのことを「被告」と呼んでいます。実際に裁判期日に出頭したときも、あなたは「被告」と呼ばれることになります。

「被告」と呼ばれると、何となく犯罪者のように思え、気分を悪くされる方もいるようですが、民事訴訟における「被告」とは、原告に訴えられた者という程度の意味しかなく、あなたに対する善悪の評価は含まれていません。

裁判所も、訴訟提起がなされた段階では、原告の主張が正しいかどうか全くわからないため、まずはあなたの主張を聞いてみるという中立的な立場で審理を進行します。

ですから、「被告」という呼称に過剰に反応したり、敏感になる必要はまったくありません。もし、あたなが原告に対し正当な反論があるのであれば、それを正面から主張すればいいのです。

訴状を放置するとどうなるか

あなたが訴状を受け取ったにもかかわらず放置すると、ほとんどのケースでは、第1回期日に審理は打ち切られ、2週間から1か月くらいの間に原告の主張どおりの判決が言い渡されます。

判決が言い渡されれば、原告は判決に従い、あなたの資産や給与を差し押さえることも可能です。
給与を差し押さえらえれてしまえば、紛争を抱えていることが会社にもばれてしまいます。

希に「原告の主張は完全ないいがかりだから、放置したとしても裁判所も相手にしないだろう」と考える方もいるようですが、裁判所はあなたが反論をしない限り、原告の主張の当否をあなたに代わって調査することはありません。

もし、あなたが原告の主張に対し、少しでも反論があるのであれば必ず反論をしてください。

万が一、あなたに正当な反論があるにも関わらず、答弁書の提出を怠り審理が打ち切られた場合には、必ず判決前に弁論再開の申し立てをしてください。事情にもよりますが、裁判所が弁論の再開を認めれば、再度、審理が開始され、あなたに反論の機会が与えられることになります。

訴状を受け取らないと

原告と和解交渉を進めていたが、決裂してしまったというようなケースでは、あなた自身も近いうちに訴状が届くのでは、と予想できる場合もあります。このような場合に裁判所から特別送達の受領を拒否してしまえば、どうなるのでしょうか?

特別送達は、あなたの受領サインがなければ届けられませんので、不在時に郵便受けに投函されることはありませんし、在宅時であっても物理的に受領を拒否すること自体は可能です。居留守を使い続けるということもできるでしょう。

送達さえ完了しなければ審理は進められないから、授業拒否をすれば大丈夫と考える方もいるようですが、これは誤りです。

もちろん、送達が完了できなければ原告は困りますが、原告は、あなたの住居調査をしたり、あなたの勤務先を送達場所に指定したりして、何とかして送達を完了させようとします。これらの手段を尽くしたにも関わらず、送達を完了できないのであれば、最終的には、公示送達という方法により、あなたに訴状を届けないまま、審理を進めることも可能です。

この方法がとられれば、あなたは訴状の内容すら確認せずに、反論の機会すら与えられずに、一方的に判決を言い渡されることになります。もちろん、判決に基づく強制執行も可能です。

ですから、安易に裁判所からの特別送達の受領を拒否するのは避けた方がいいでしょう。

弁護士に事件処理を依頼すべきか

日本の民事訴訟は、弁護士を代理人に立てて進めることもできますが、本人が自ら書面や証拠を提出し期日に出頭するという方法(本人訴訟)も認められています。法人の場合は、代表者や支配人であれば、自ら対応できますが、単なる従業員の場合には、裁判に出頭することはできません(簡易裁判所の場合は例外あり)。

万が一、訴えられた場合に、自分で対応するか、弁護士にお願いするかは悩ましい問題ですが、もし、あなたに正当な反論があれば、弁護士に依頼されることをお勧めします。

私自身も、相手方が本人訴訟の案件を何件も経験したことがありますが、弁護士がつけば難しくなったであろう事案でも、相手方が本人であるために、簡単に勝訴できたという事案が多数ありました。相手方がかわいそうと思われる方もいるかもしれません。しかしながら、多くの裁判官も、弁護士を付けるか、本人が自分でやるかは自己責任の問題と考えているようで、審理を進行する際も、決して、本人に一方的に肩入れしてくれることはありません。

資力がない方でも、民事法律扶助制度を利用して弁護士に依頼することは可能ですから、真剣に争いたいのでれば、是非、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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